父の遺訓

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父の遺訓

院長ブログ

2019/02/28 父の遺訓

私の父も医師でしたが、五十六歳のときに膵ガンで他界しました。父は青春時代を終戦前後の食糧のなかった時代に過ごしており、飢えることの辛さと恐ろしさは身を持って体験した世代でした。父が医者になって間もなくのころは、結核が国民病であり、有効な化学療法もなく不治の病として日本人の死亡原因の一位でした。父は当時、肺結核に対する胸郭形成治療に携わっていました。肋骨を何本か切除して胸郭を狭め、結核に侵された肺を押しつぶすという手術です。手術でしか結核の進行をくいとめる手立てがなかった時代でした。

その父は、四十二歳のときに自ら結核に倒れました。昭和四十一年でしたから、すでに結核に対する化学療法は確立されていた時代です。しかし、当時はまだ結核が栄養不良によって発症すると信じられていました。事実、結核にはバターがいいと言われたこともありました。戦後の日本における栄養教育は医師にすら誤った観念(欧米型の食事が人を健康にする)を植え付けてしまったようです。父は化学療法を受ける傍ら、栄養をつけることにも努力しました。そして皮肉にも、その当時の食生活の変化が父の寿命を縮めたのです。

それまでの父は、今の私と同様に痩せ型でしたが、結核を患って食生活を欧米型に変えて以来、次第に太ってきました。当時は太る、特にお腹が出るという体型の変化は、中年以降の男性にとっては経済的富裕の象徴として好ましく受け入れられたものでした。

しかし、父は間もなく糖尿病を発症しました。当時、糖尿病の内服治療薬としては膵臓のβ細胞からインスリンの分泌を促すスルホニルウレア剤しかありませんでした。この薬によって血糖値は下がりました。しかし、急激な肥満と過剰なインスリン分泌は、膵ガンの発生を許すきっかけになったのではないかと思います。今では、肥満や高インスリン血症が膵ガンの危険因子であることはよく知られています。父も正しい食生活と適度な運動さえしていれば、糖尿病になることも、膵ガンになることもなく、今でも健在でいたかも知れません。過食や肥満に対して強い警鐘を鳴らさなかった当時の予防医学の至らなさを後悔する思いです。

私の家系は、父も母も糖尿病であり、私も間違いなく糖尿病の遺伝的素因を引き継いでいます。私は、自分自身が糖尿病を発症したことによって、自らの体質を改めて知り、生活習慣病を切実な問題として受け容れられるようになりました。それは、糖尿病が狭心症、心筋梗塞、脳梗塞、脳出血といった心臓血管障害の原因となるからです。生まれて初めて生活習慣病と向き合うことを決意できたのです。私は食事摂取量をそれまでの八割くらいに減らし、病院内ではエレベーターを使わずに階段を上り、週に二~三回は五~一○kmをジョギングするようにしました。その結果、私の体重は六三 kgと学生時代のレベルに戻りました。学生時代から筋肉量は増えていないわけですから、そのころの体重が理想的だったのです。これによって糖尿病とは縁が切れました。糖尿病は、薬に頼らなくても生活習慣の改善で治療が可能であることを自ら実証できたのです。

 

 

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